豊中市こども未来部こども政策室

実施日:2013年12月3日(火)

豊中市役所第2庁舎3階に、こども未来部があります。そこで「ひとり親家庭」支援を担当する母子自立支援プログラム策定員、平柴雅子さんに、豊中市のひとり親家庭の現状と施策、支援内容についてお話しを聞きました。

平柴さんご自身の経験をいかし、就労という枠にとどまることなく生き方、考え方も含めた支援に取組んでこられました。

豊中市の「ひとり親家庭」の現状と施策

Q.豊中市の「ひとり親家庭」の世帯数は。

A.豊中市の18歳未満の子どものいるひとり親世帯数は、2010年度の国勢調査では4,915世帯で、2005年の同調査と比べ549世帯、約12%増加してます。
※「ひとり親家庭」…母子家庭と父子家庭

Q.「ひとり親家庭」への国の施策は。

A.厚生労働省が「就業・自立に向けた総合的な支援」として「自立」をキーワードに施策を進めています。この国の方針を踏まえて自治体は「母子家庭及び寡婦自立促進計画」として、「子育て・生活支援」「就業支援」「養育費確保支援」「経済的支援」の4本柱の支援を進めていきます。

Q.豊中市の施策はどうですか。

ひとり親家庭のしおり

ひとり親家庭のしおり

A.国の施策である児童扶養手当については、窓口を担当しています。豊中市としては「ひとり親家庭等日常生活支援事業」「高等技能訓練促進費事業」「自立支援教育訓練給付金事業」「母子寡婦支援プログラム策定事業」「母子自立支援事業」「母子生活支援施設入所事業」を進めています。

Q.豊中市の支援の特徴は。

A.豊中市には母子福祉センターがあります。市町村に母子福祉センターがあるケースは少なく、大阪府では豊中市と大阪市だけです。豊中市にあるのは、戦争で夫を失った寡婦の当事者団体として早い時期に母子寡婦福祉会が発足したことによります。また福祉と就労の連携もあげられます。児童扶養手当の担当と就労支援の担当が同じ室内にあるので「児童扶養手当の手続きに来られた受給者のうち就労支援が必要な方に対してスムーズに就労相談につなげる」という連携を行っています。

その人にあった就労プログラムを策定

Q.母子自立支援プログラム策定員さんには、どんな相談にのってもらえますか。連絡先は。

A.現在、豊中市は策定員を1人配置しています。就労について相談のある方は、豊中市こども政策室の窓口にお越しいただくか、お電話(TEL.06-6858-2767)をください。基本は児童扶養手当を受給している「ひとり親家庭」からの相談を受けますが、受給されていない方からの相談も受けます。

Q.プログラム策定とはどのようなものですか。

A.まず相談者の現状を詳細に伺います。そして今までの職歴、資格、興味のある仕事や、その方の価値観などについてお話を伺い、支援の方向性を決めます。そこからその相談者にあった就労支援のプログラムを策定し、ハローワーク、豊中市地域就労支援センター、公的な職業訓練、就労支援講習会などへつなげていきます。

Q,ハローワークへつなげるとは。

A.たとえば今まで働いていなかった人が、いきなり一人でハローワークに行ってもどうしていいかわからないという場合もあります。私たちは必要に応じて相談者と一緒にハローワークへ行きます。ハローワークには「生活保護受給者等就労自立促進事業」という制度があり就労ナビゲーターという専門のスタッフがいますので、一緒に相談しながら仕事をさがしていきます。

Q.こちらに相談して就職した人は何人いますか。

A.2012年度は延べ188人が相談に来られました。そのうち59人が初めて相談に来られた人です。そのなかで36人が就職されました。介護職が多いです。相談者の年代は30~40歳代が中心です。

Q.うまく就職できたケースを教えてください。

A.未婚のシングルマザーとして一人目の子どもを産み、結婚して二人目を生みましたが、夫が働かなくなり離婚し再びシングルマザーとなりました。子どもの保育所も決まっておらず、働ける条件は整っていませんでした。そこでハローワークの母子家庭を対象とした託児付き介護訓練を受講してもらいました。すると訓練終了を待つことなく、受講中に就職先も決まり保育所も決まり、仕事も保育も見つかったという良い例があります。

Q.たとえば介護職の求人は多いように思いますが、実際は事務職を希望する人が多いのではないでしょうか。

A.事務職は人気も高く、パソコンスキルのない母子家庭のお母さんが事務を希望されるとしても、たぶんそれは難しく狭き門ですが、とりあえず一度事務職で就活していただいて現実の厳しさを実際に経験してもらいます。その実感から自分に何ができるのか、何があっているのか何を求められているのかを再考していただきます。そこから事務だけにこだわるのではなく、もっと視野を広げた現実的な就活ができるようにサポートしています。

仕事さがしのアドバイス

Q.シングルマザーの仕事さがしのポイントは。

挿絵A.就職条件として「事務職」「通勤時間○分以内」「勤務時間は○時から○時」など多くをあげる人がいますが、すべての条件を満たすことはなかなか難しいと思います。自分のなかで何が一番大切か優先順位をつけましょう。ゆずれるものか、ゆずれないものかを一つひとつ確認してください。自分の経験、能力、興味や価値観などから自己分析し、その上で求められていることは何なのかを考えます。自分のなかで「折り合い」をつけることも、仕事をみつける大きなポイントになります。

Q.平柴さんご自身はどのような体験をされましたか。

A.パート勤務をしていたとき、就労相談があると聞き顔をだしてみました。相談した人から「あなたにも(仕事も人生も)選ぶ権利がある」という言葉を聞き、とても勇気づけられました。たった一言で気持ちが明るく前向きになったこの経験を経て、就労支援の仕事の大切さに気づかされ、現在も豊中市こども未来部で就労支援の仕事をさせていただいています。

Q.シングルマザーへのアドバイスをお願いします。

A.仕事がなかなか見つからない、子どもが熱を出して休みが続き働きづらい等々、自分ではどうしようもない無力感を持たれることもあると思います。そんな時「自分が悪い…」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。しかし失敗したとしても悲観的になるのではなく視点を変えてみることで開ける場合があります。どのような体験でも悔やむのではなく「経験」として捉えるように気持ちを切り替え、良い転機にしてください。自己肯定感を持ってください。一人で悩まず相談してください。相談というキャッチボールのなかで、ものの見方が変わることもあります。とりあえず前に進むこと、いろいろとやってみることです。

連絡先

豊中市こども未来部こども政策室
大阪府豊中市中桜塚3丁目1−1
TEL. 06-6858-2767

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